「液晶が不得意とする細かい明暗表現をクリアし、低消費電力という利点のある有機EL市場はサムスン電子とLG電子の独占状態。この有機EL市場は毎年20%近い成長を遂げると言われており、サムスンを屋台骨とする韓国経済も成長が続く可能性が高い。にもかかわらず、韓国市場は世界的に出遅れ感が際立っています。直近の各国のPERを見ると、インド証券市場が20倍、NY市場18倍、東京市場16倍なのに対して、韓国は9.8倍。年初来高値を更新していても、まだまだ割安なのです。韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐって、中国が“観光制裁”を打ち出したり、北朝鮮のリスクも高まっていますが、韓国市場の上値余地はまだまだ大きい」(加谷氏)
では、韓国株で稼ぐには? 榮氏は「サムスン電子、LG電子は外せない」と話す。
「KOSPIに連動するETFは国内証券会社を通じて購入可能ですが、業績がそれほどよくない韓国の鉄鋼メーカー・POSCOなども含まれている。韓国投資を行うのであれば、高成長期待の強いサムスン電子にLG電子、それとリチウムイオン電池世界最大手のサムスンSDIあたりを押さえておくほうが手堅いでしょう。さらに現代自動車は米国での新車販売実績で2月に新記録を達成するほど好調です。トランプ政権のかじ取り次第で急ブレーキがかかるリスクもありますが、欧州でもSUV(スポーツタイプ多目的車)などが好調を維持しているだけに、上値余地がありそうです」
ほかにも韓国最大のネット企業であるNAVERや韓流ブームの仕掛け人といえる大手芸能事務所・SMエンターテインメントといった注目銘柄もあるが、大化け期待があるのは韓国最大の化粧品メーカーであるアモーレパシフィックだとか。というのも、同社の主力市場である中国では韓国制裁の影響を受けて今年1~3月期は大きく売り上げが落ち込むと予想されている。そのため同社の株価はここ半年で30%も下落しているのだ。制裁解除となればV字回復も可能か? 政財界を巻き込んでの一大スキャンダルに揺れる韓国には、一攫千金のチャンスがあることだけは間違いない!
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サムスン電子は昨年の「Galaxy Note7」発火事件、今回の国政介入事件を受けての副会長逮捕にもかかわらず、過去最高値を更新し続けるほどの好調ぶりをキープ。有機ELをけん引役に成長持続か
・サムスン電子[005930]
予想PER:13倍
株価:210万1000ウォン
サムスングループの中核企業。スマホは世界シェア20%。グループのサムスンディスプレーの有機ELシェアは90%以上。トップ逮捕は影響薄
・サムスンSDI[006400]
予想PER:―
株価:13万6000ウォン
太陽電池、燃料電池などの製造が主力。リチウムイオン電池で世界最大手。サムスンのスマホ出荷問題で急落したが、直近株価は急回復!
・LG電子[066570]
予想PER:160倍
株価:6万8500ウォン
LGグループの総合電機メーカー。冷蔵庫、洗濯機、エアコンで世界シェア4位。有機ELのシェアはわずか数パーセントだが、サムスンとほぼ独占
・現代自動車[005380]
予想PER:8.4倍
株価:16万8500ウォン
韓国最大の自動車メーカー。韓国EV市場では60%以上のシェア。主力の米国市場では2月に新車販売実績が新記録を達成するほど好調を維持
・アモーレパシフィック[090430]
予想PER:36倍
株価:28万ウォン
韓国最大の化粧品メーカー。’93年に中国市場に参入して以来、約20年で売り上げは10倍に拡大。直近の中国による韓国制裁で株価は下振れ基調
取材・文/韓国株取材班 図版/ミューズグラフィック