チーム内の軋轢は「やる気の源泉」のギャップを解消すれば解決する!

モチベーションファクターをキーにしたカルチャーチェンジプロセス

 経営者から企業のカルチャーを変えたいという要望に接することも多い。私は、カルチャーチェンジプログラムを、以下のように、モチベーションファクターをキーにしたプロセスで実施している。 ①既存メンバーのモチベーションファクターの見極め ②戦略を実現するために必要なモチベーションファクター決定 ③チーム毎のモチベーションファクターのアロケーションの決定 ④ギャップを埋めるためのリソースアロケーションプランの策定 ⑤同プランの実施(正社員採用、契約社員採用、異動) ⑥既存メンバーのモチベーションファクターの変更プログラムの実施  既存のリソースとあるべきリソースのギャップ解消を、メンバーの能力レベルのギャップ解消と捉えている企業が多いが、経験的には、能力レベルではなく、モチベーションファクターのギャップを解消することの方が、経営課題の解決に役立つという実感を持っている。  採用や異動により、あるべきモチベーションファクターのアロケーションを実現できなければ、既存メンバーのモチベーションファクターを変更することに取り組むことになる。この取り組みを見越したり、この段階に入ったりしてくると、「メンバーのモチベーションファクターは変えられないのか」という質問に接することが多くなる。

「他者協調」「自律裁量」のモチベーションファクターは比較的変わりやすい

 既存メンバーのモチベーションファクターを変えるにも、私は、変えやすいモチベーションファクターの人から変えていくということをお奨めしている。変えやすいモチベーションファクターとはどのファクターか。最も変えやすいのが「農耕型」の中の「他者協調」、次に「狩猟型」の中の「自律裁量」のモチベーションファクターだ。 「他者協調」のモチベーションファクターを持つビジネスパーソンは、文字通り、他の人と関係を重んじる。他者との関係を重んじるので、他者の状況が他者の意向に受容しやすい。その分、他のモチベーションファクターの人の考え方や行動を受け入れやすく、それを再現しやすいということがわかっている。 「自律裁量」のモチベーションファクターを持つビジネスパーソンは、確固たる自身の指針を持っている。頑固のように思われがちだが、自分自身が心地良いように、相手の指針も尊重することを実施し始めれば、相手のモチベーションファクターを受け入れやすくなるのだ。 ※「モチベーションファクターを見極めるスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第31回】 <文/山口博 photo by AlexanderStein via pixabay(CC0 PublicDomain)> 【山口 博(やまぐち・ひろし)】株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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