ベトナムの現地メディアであるVNエクスプレスによれば、警察関係者の言葉として、「警備員達が、昼食を終え帰るために出入り口に並んでいた40代労働者を警備室の中に連れ込み、すぐに(警備員と労働者が)争いを始め、それを見ていた数百人の労働者が警備員たちを追いかけ始めた」と報じた。
一方、サムスン側は「軽微な混乱があっただけで、怪我人や死亡者はいない」とし、「現場では事を収めたのち、正常に稼働している」と明かした。しかし現地から送られてきた動画を見る限りは、決して「軽微」ではない様子がうかがえる。
ベトナムはサムスン電子の主要な生産拠点であり、1月10日には、サムスン電子傘下のサムスン・ディスプレイが、既に多額の投資をしてきた同地域に、3兆ウォン(約3000億円)の追加投資をすると報じられたばかり。ベトナムの輸出総額におけるサムスン電子グループの割合は22.7%(2016年)であり、ベトナムにおけるサムスングループの存在感は絶大だ。
グループ総帥の逮捕、グループの「コントロールタワー」の解体に続き、生産主要拠点における暴動。サムスングループの苦難は当分続くかも知れない。 <文/安達 夕>