役立たずの「アクションプラン」はなぜできてしまうのか?

煩雑なアクションプラン策定シートが疲労困憊させる

「練習過多型」に陥りやすいケースはこうだ。大概、たいへん精密なアクションプラン策定シートが準備されている。所属、役職、氏名、社員番号、上司の役職と氏名を記入する欄があり、翌週、翌月、翌三か月について記入するページに分かれている。  それぞれのページに実施予定のアクションの区分、内容、説明、期待する効果、想定される障害と克服方法、そして、優先順位を記入。各々のアクション毎に社内・社外関係者の名前を羅列し各々の関係者の役割と関係者に対するアクションを記入する。さらに全体を俯瞰して、その期間の目標とアクションのまとめ、到達のための決意を記入させるという念の入りようだ。  見ただけでうんざりするだろうと思わないか。記入するだけで大仕事だと胸の内に感じないか。事実、記入するだけで2時間かけているケースがある。メンバーが記入するだけで疲れてしまい、記入し終わった途端、記入完了の達成感と解放感に満ちてしまう。その結果、アクションプラン策定シートに記入した内容に沿ってアクションするという本来目的がほとんど実現されていない。「練習過多」で本番の出番で役立たなくなってしまうという本末転倒な事態の陥ってしまうのだ。 「練習過多型」に陥りやすいのは、大手企業やそのグループ会社、外資系企業だ。合議を重んじ、ヒエラルキーが確立していて、たいへん素直で優秀なアクションプラン策定シートの作成者がいる企業だ。  要は、素直で優秀な担当者が、直属上司やその上の上司からあれこれ助言を受けるたびに、それらを盛り込み、合議する中で出た意見を反映させるたびに追加された項目の集大成がアクションプラン策定シートになっているパターンだ。あるいは、優秀な担当者がアクションプラン策定シートの事例を山ほどある書籍などからかき集めて、再構成した結末だ。
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