“元芸人”ユウキロックが語る「芸人のセカンドキャリア問題」

――以前と比べて、解散や引退といった区切りをつける年齢が高くなっている、もしくは低くなっているといった違いはあったら、教えてください。 ユウキロック:昔と違って、20代の芸人だけでやる番組がなくなり、最近はテレビで活躍しはじめる時機が遅くなっています。そういった要因が決断を遅くしていると思います。ただ、今後、たとえ景気がもっと悪くなったとしても、自らの決断の指針は「時代」ではなく、「自分」にあるということを踏まえてほしいです。 ――「お笑い芸人として踏みとどまっている人」、「スパッと辞めて、別の仕事をはじめた人」、ユウキロックさんの目にはどちらが幸せに見えますか?

ユウキ氏の著書『芸人迷子』

ユウキロック:ずるい答えですが、どちらも幸せな人もいれば、不幸な人もいると思います。向き合い方次第で変わります。去年のR-1で優勝したハリウッドザコシショウのように続けていれば、脚光を浴びることもあります。ザコシショウもNSCの同期なんですが、やってることは昔から全然変わってないですから(笑)。ただ、踏みとどまっていては駄目です。真正面から向き合っていかなければ。真正面から向き合ってこそしっかりとした決断が下せます。その上で別の仕事をしている人は、それも幸せだと思います。死ぬ時に後悔をしない人生を送ってほしいですね。 ――現在は後進を育てるお仕事もされていますが、これから先の時代、お笑い芸人の在り様や活躍のしかた、求められるスキルはどのように変わっていくとお考えですか? ユウキロック:単純に知識が豊富なほうが武器も多い。それを出すか、出さないかは自分で決めればいいわけで。応用がききますから。ただ最後の最後、結局は精神です。気持ち。「突き抜けてやる」という意識がどこまで持てるかが重要だと思います。それは今も昔も変わらない。芸人という職業は、何もかも犠牲にして身を粉にして向き合っても損のない素晴らしい職業だと思います。僕はもう“元芸人”になってしまいましたが、芸人の皆さんには、5年後も10年後もずっと頑張っていただきたいです!! 【ユウキロック】 1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。芸人生活に自ら終止符を打つまでの顛末を赤裸々に明かした『芸人迷子』が発売中 <取材・文/HBO取材班 撮影/林紘輝>
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●芸人迷子特設サイト
http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。