『ロング・ショート』
ヘッジファンドでもっとも運用残高の多い伝統的な投資戦略。株式など、割安な有価証券のロングと、割高な有価証券のショートのポジションを同時に取る。下落局面でも、空売りで絶対的収益を生み出すことができる
『グローバル・マクロ』
経済指標や政治的な見通しなどを重視し、経済、金利、為替などのマクロ指標の予想に基づき投資する戦略。世界中で株式やコモディティなど多様な現物・先物のポジションを取る。クォンタム・ファンドがその代表
『アービトラージ』
複数の市場に上場している同一の取引銘柄で生じる、わずかな価格の乖離を取る。安全かつ確実に利益を得られるが、利幅は非常に小さいためレバレッジを大きくかける。米投資銀行ソロモン・ブラザーズが得意としていた
『イベント・ドリブン』
M&Aや倒産、リストラなど、企業のイレギュラーな状況を投資機会とし、そのイベントが成立するまでに発生するミスプライスを収益機会にする戦略。優先株やオプション、先物、社債などを組み合わせて収益を狙う
『マーケット・タイミング』
ロング・オンリーの運用とは異なり、市場の動向などを見計らいながら、ロングポジションを取る投資手法。株式市場の上昇トレンド入りを見定めながら、下落局面はキャッシュポジション、上昇局面はリスクポジションを取る
『マーケット・ニュートラル』
市場に対して中立なポジションを取る運用手法。市場全体の値動きに左右されず、その銘柄から生じる収益(アルファ)のみを積み上げてリターンを狙う。ヘッジファンドの中でもっともリスクが低く安定した運用手法の一つ
『マネージド・フューチャーズ』
世界中の先物取引を用いて、トレンドを取りにいく手法。レバレッジをかけ、機動的な売買を繰り返すのが特徴。特にコモディティに特化しているファンドを「コモディティ・トレーディング・アドバイザー」(CTA)と呼ぶ
『レラティブ・バリュー』
市場の完全なミスプライスを収益機会とするアービトラージと似ているが、レラティブ・バリューは相対的な割安・割高を収益機会と捉える手法。ノーベル経済学賞受賞者らがいたにもかかわらず破たんした「LTCM」の実態は「レラティブ・バリュー」に近かったと言われている
【田代昌之氏】
マーケットアナリスト。新光証券、シティバンクなどを経て金融情報を発信するフィスコのアナリストに。個別株や全体相場を分析。海外機関投資家、ヘッジファンド事情に詳しい
<取材・文/HBO取材班>