最新プリンター工場を見学してみたら、アームロボットが駆動するSFの世界だった!

エプソン製の6軸ロボットをフル活用

 ほこりや雑菌が入らないよう、頭からつま先までカバーする防塵服に身を包み、工場内部へと進んだ記者の目に飛び込んできたのは、エプソン製の6軸ロボットを活用した「PrecisionCoreマイクロTFPプリントチップ」の製造ラインだ。「PrecisionCoreマイクロTFPプリントチップ」は、エプソン独自の薄膜ピエゾを用いたプリントヘッド技術の総称で、その中核となる部品だ。

エプソン製の6軸ロボット

 その製造ラインは主に5つの組み立て工程と、検品作業によって成り立っている。接着剤が塗られた「マイクロTFPプリントチップ」にドライバーICを載せたフィルム基板を接続。ここにインク流路構造を持つ部品やケースを組み合わせている。  工場内では、ほぼすべての工程がオートメーション化されており、従業員は不良品が発見され、製造ラインがストップしたときに備える人が数人いるのみだ。オペレーターが少ないため異物混入の可能性も少なくなっているという。  また、冒頭でも述べたとおり、製造拠点が国内に集約されているため、労務費も安く抑えられ、海外輸送中のチップのコンタミネーション(汚染)リスクもない。これらの工程を経て完成した「PrecisionCoreマイクロTFPプリントチップ」の組み立て作業などは、フィリピンやインドネシアにある同社の海外製造所で行われているが、「コアデバイスとなるプリントヘッドを、国内生産としている方針に変更はございません」(エプソン販売広報)と述べる通り、国内生産にこだわることで、安定した品質を実現しているのだ。

新商品発表会でも自信を覗かせる

 2月2日には前述の新商品の記者発表会が行われた。登壇したセイコーエプソン社長の碓井稔氏は、長期ビジョン「Epson25」について説明。 「すべての事業領域において独自のコアデバイスを作り上げ、印刷が遅い、メンテナンスに手間がかかる、コストが気になるとったオフィスの悩みを解決。プリンティング事業においても、独創のマイクロピエゾ義重を磨き上げ、さまざまなソリューションを通して、コストを気にすることなく、カラーの印刷ができる、まったく新しいオフィス環境を提案したい」  そう語り、自信を覗かせた碓井社長。東北エプソンで見せた先端技術を用いて、同社がどのようなソリューションを提案してくれるのか。これからも注視していくべきだろう。 <取材・文/井野祐真(本誌)>
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