大手企業の下請イジメ是正なるか?「下請Gメン」誕生も効果は限定的!?

 万引きGメン、麻薬Gメン、さらには密漁Gメンなど、世の中にはさまざまな「●●Gメン」と呼ばれる組織が存在する。そんななか、中小企業庁は今年1月、大手企業による下請イジメを是正させるべく、「下請Gメン」なる組織を新たに発足させる方針を発表。  現時点ではまだ具体的な組織図は明らかにされていないが、この「下請Gメン」にはどの程度の効果が期待できるのだろうか。中小企業に対する診断・助言を行う専門家、中小企業診断士の多田稔氏に伺った。

photo by はむぱんさん

――どのような下請イジメが問題視されているのでしょう 多田:やはりもっとも多いのは、支払いに関することです。中小企業庁の外郭団体である(公財)全国中小企業取引振興協会のホームページによると、同協会が運営する「下請けかけこみ寺」事業の2015年度の相談件数は5825。そのうち、「代金の未払い」「代金の減額」「単価の引き下げ要求」などといった支払・代金に関するものが40%を占めます。 ――具体的にどのような事例が出ているのでしょうか? 多田:典型的なケースとしては、 ・些細なことに難癖をつけて支払いをしない、減額を要求する、あるいは支払いを遅らせる ・理由もなく単価の引き下げを要求し、応じなければ取り引きを切られる  という2パターンがあります。「些細なこと」とは、少量の不良品、軽微な不具合、多少の納期遅延などです。ヒドいケースでは、親企業の指定部品が原因で不具合が起きたことが強く疑われるケースで、一方的に下請け企業のせいにされ、代金を支払われなかったという事例を聞いたことがあります。
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「下請Gメン」はどこが目新しい?
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