ブータンは国際連合により後発開発途上国に指定されており、経済的貧困から脱出できていない。そのため、ブータンでは低価格帯のスマホの需要が高い。
インドの携帯電話市場では低価格帯のスマホがメインストリームで、インドには低価格帯のスマホが多いが、それがブータンに輸入されることはブータンの人々にとって都合がよいのだ。
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ブータンの商店に並ぶインドのLava International製スマホ「Lava A71 4G」
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ブータンで売られるインドのIntex Technologies (India)製スマホ「Intex Aqua 4G Strong」
インドにはインド国外からも多くの携帯電話メーカーが参入しているが、インドの携帯電話メーカーは特に安価な傾向にあり、安価なスマホを優先的に調達すると、自然とインドメーカーの比率が高まる。また、インド人が経営する商店は新品ではなく中古のスマホを中心に調達する事例も多いが、これも価格重視のためである。流通構造からインドで流通量が多い低価格帯のスマホほどブータンに流入しやすいと言える。
世界的に急成長する中国の携帯電話メーカーは少なくないが、前述した複数の理由により、中国メーカーはブータンの携帯電話市場で存在感が高いとは決して言えない。ただ、インドは携帯電話大国ゆえにインドで事業強化を図る中国メーカーは多く、インドの携帯電話市場では販売台数を増加させて存在感を高めている。インドメーカーと並ぶほど低廉化が進むか、もしくはブータンの経済成長が進めば、ブータンでもインド経由で中国メーカーのスマホが流通量を増やすだろう。
ブータンではインドのテレビ放送局の番組が一般的に楽しまれており、当然ながらインド向けテレビCMも放送される。インドで事業拡大を狙う中国メーカーはテレビCMなど広告展開に積極的で、ブータン滞在中は中国メーカーのインド向けテレビCMを目にした。このような状況からブータンでスマホの流通量が少ない中国メーカーでもブランドが知られていることは珍しくなく、知名度が先行する状況で流通量が増えれば、ブータンの携帯電話市場でも存在感を高める可能性が高い。
<取材・文・撮影/田村 和輝 Twitter ID:
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