「老朽ダム維持管理」の時代でも、必要性の怪しい新規ダム建設は止まらず

必要性の怪しい、新規ダム建設の見直しも進まず

 一方で、少子高齢化や過疎化が進む地域も含めて、必要性に疑問が持たれている全国の新規ダム建設計画も止まろうとはしていない。八ッ場ダム、思川開発、設楽ダムのように建設差止などが訴訟で争われた事業もあるが、いずれも住民が敗訴。現在も成瀬ダム、霞ヶ浦導水、木曽川水系連絡導水路などで裁判が行われている。  また、道府県が進めようとしているダムも別途ある。中には、長崎県の石木ダムのように、新たな水需要が見込めない地域であることが明らかな地域で、農家など13世帯の土地家屋を強制収用して進めようとしているダムもある。  かつて旧民主党政権下では、こうした状況を変えようと2009年12月にダム検証が始まった。一般傍聴をさせない「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を通じて、現在までに84ダム中25ダムの中止が決定している。
ダムの検証状況

ダムの検証状況

 水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表はこう批判する。 「中止ダムは、ダム事業者の意向によって中止になったものがほとんど。適切な検証が行われた結果によるものではありません。現在、建設が問題になっている多くのダムは『中止』ではなく『継続』となっており、ダムの見直しをするはずであったダム検証が事業推進にお墨付きを与える道具になってしまった」と批判する。  安倍政権は2016年8月の概算要求時に「優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する」との方針(2016年8月2日閣議了解)を発表したが、ダム事業に対してはまったく目が行き届いていない。維持管理時代に突入しているダム事業、もうこれ以上必要性の怪しいダムに税金をつぎ込んでいく余裕はないのではないか。<取材・文・撮影/まさのあつこ>
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