ポジティブな表情で暴力映像を見た少年がとった行動とは
最初に、様々な経済・民族背景を持つ5歳~6歳の子どもに、殺人・銃の発砲・物理的なケンカが含まれた映像(=暴力映像)、もしくはスポーツ映像(=非暴力映像)を観てもらいます。
次に映像を観た子どもは別室に通され、2つの課題をしてもらいます。
一つ目の課題(=課題①)は、隣の部屋でゲームをしている他の子どもがゲームに苦戦しているときに助けるか否かを判断してもらうというものです。隣の部屋の子どもを助けるためには「ヘルプ」ボタンを、苦しめるためには「ダメージ」ボタンを押してもらいます。このボタンを長く押せば押すほど、それぞれの効果が長続きする仕組みになっています(実際には、隣の部屋に子どもはいないため、「ダメージ」ボタンを押しても本当に誰かを傷つけることはありません)。
二つ目の課題(=課題②)は、銃のおもちゃ、ナイフのおもちゃ、そして3フィートの背丈のある人形がある部屋で子どもに遊んでもらうというものです。
子どもたちは暴力映像を様々な表情で観ていました。ある子どもたちは、幸福・満足・関心などのポジティブな表情を見せ、他の子どもたちは、悲しみ・不快・苦痛・無関心などのネガティブな表情を見せました。
暴力映像にポジティブな表情を見せた少年は、ネガティブな表情を見せた少年に比べ、課題①において「ダメージ」ボタンを多く、かつ素早く、押す傾向にありました。課題②においては、人形を傷つけるような暴力的な遊びに興じる傾向にありました。
暴力映像にネガティブな表情を見せた少年は、ポジティブな表情を見せた少年に比べ、課題①において「ヘルプ」ボタンを多く押す傾向にありました。