全体的にみれば、確かにIQ70台の人よりもIQ120台の人のほうが、仕事をスムーズにこなす傾向はあります。しかし、いくら認知機能が高くても、締め切りを守らなかったり、対人関係がうまくいかなければすべては無意味。その意味で、結局は性格がいい人のほうが将来の成功をつかみやすいようです。
それでは、ここでいう「良い性格」とは何を意味するのでしょうか?この論文では、人間の性格を大きく5つに分わける「ビッグファイブ」が使われています。
「ビッグファイブ」は1980年代に確立された性格分類で、
・開放性:好奇心の高さ、想像力など
・誠実性:勤勉さ、忍耐、自制心など
・外向性:社交性、活動性、積極性など
・協調性:他人への共感、優しさなど
・情緒安定性:不安や緊張の強さなど
という5つの要素で人間の基本的な特徴を把握します。これまでの研究で、ビッグファイブの点数によって人間の行動がかなり予測できることがわかっており、現時点ではもっとも信頼できる性格テストだと言えるでしょう。
ヘックマン教授は、数十万人のビッグファイブと収入や健康状態の関係を調べ、人生の成功に必要な性格の重要度を割り出しました。その結果は、
1位 誠実さ
2位 開放性
というものでした。