酉年の波乱要因は欧州の選挙だというのだ。が、さらなる波乱を予想するプロもいる。’15年末の段階で「’16年前半に日経平均が1万4500円に急落する」と予言(6月のBrexit後の安値は1万4864円)し、前半相場で驚異的な的中率を見せたエモリキャピタルの江守哲氏が話す。
西原氏は年初の大統領就任式前後に調整が入ると予想。江守氏は年後半にアメリカのインフレ率上振れにより相場が失速する可能性を指摘
「12月のFOMCで3回の利上げが示唆されたことを考えれば、さらなるドル高の進展は必至。実は統計的に、共和党政権の1期目には平均12.8%もドル高が進んでいるのです。共和党が上下両院で過半数を獲得した時代には年平均でNYダウが14%も上昇している。総合すると、1ドル=130円に到達し、日経平均は2万3000円まで上昇すると見ています。ただし、高値奪取後には下振れの可能性がある。トランプ政権の国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏はドル安論者なうえに、FOMCが示しているインフレ率の見通しも甘すぎるからです。米国のインフレ率は原油価格との連動性が強いにもかかわらず、いまだ9月時点の見通しを据え置いている。’17年初頭には原油価格が前年比50%以上の上昇率になるのが濃厚なことを考えると、米国の消費者物価指数は2.5~3%近くに達し、日米の実質金利(名目金利-物価上昇率)差の縮小により、円高にシフトする可能性も考えられる」
そうなれば、当然、日経平均もピークアウトしていくことに。江守氏は「早ければ’17年後半に円高・株安に転換するリスクがある」と見ているのだ。繰り返すが、格言どおりならば酉年も荒れる。トランプ相場に浮かれっぱなしの投資家は、くれぐれもご用心を!
【西原宏一氏予想】
’17年ドル/円高値
1ドル=130円
【江守 哲氏予想】
’17年日経平均高値
2万3000円
取材・文/高城 泰(ミドルマン) 池垣 完(本誌) 図版/ミューズグラフィック