】宇宙へ向けて飛ぶイプシロン・ロケット2号機。ロケットの周囲にはもうほとんど空気がないため、噴射ガスが大きく広がっている(撮影: 渡部韻)
しかし、小型・中型の衛星打ち上げ用ロケットはライバルも多い。イプシロンと同じ打ち上げ能力のロケットというのはほとんどないものの、小型衛星の場合、たとえばイプシロンよりも少し大きなロケットでも2機同時に載せることができる。またイプシロンより小さなロケットでも、価格や信頼性が優秀なら、各衛星メーカーがその能力に合わせた小さな衛星を中心に造る、といったことも起こりうる。そのため打ち上げ能力が多少異なるロケットでも、十分ライバルになりうるのである。
どの程度の質量や大きさの衛星が主流になるのか、また地球観測などは成層圏に浮かぶ飛行船やドローンなどでも一部を肩代わりできるため、新興国での人工衛星の需要がどれくらい伸びるかといったことは、まだ未知数である。ただ、イプシロンを「使いやすいロケット」として成功させるためには、むしろ自ら主流を創り出し、ライバルを蹴散らすのだ、というくらいの覚悟で売り込みをかけることが必要になるだろう。
ライバルのロケットに対する、イプシロンの優位点は何か、という問いに対し、森田プロマネは「私たちには日本が長年培ってきた固体ロケットの技術があります。それにロケット技術を革新していく機動性も高い。もちろん彼らも日々技術を磨いて成長してくるでしょうが、十分勝てます」と自信を見せた。
<取材・文/鳥嶋真也>
とりしま・しんや●宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。
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【参考】
・JAXA | イプシロンロケット2号機によるジオスペース探査衛星(ERG)の打上げ結果について(
http://www.jaxa.jp/press/2016/12/20161220_epsilon2_j.html)
・JAXA | ジオスペース探査衛星(ERG)の太陽電池パドル展開及び衛星の愛称について(
http://www.jaxa.jp/press/2016/12/20161220_arase_j.html)
・イプシロンロケットについて – 20161124_epsilon.pdf(
http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/files/20161124_epsilon.pdf)
・JAXA | イプシロンロケット(
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/epsilon/index_j.html)
・【放送終了】12月19日 イプシロンロケット2号機/ジオスペース探査衛星(ERG)打上げに関する中継【JAXA】 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ-(
http://blog.nvs-live.com/?eid=431)
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。
著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
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