だがこの“夢の新薬”オプジーボ、1か月の薬価がプリウスが買えるほど高価で、年間約3千500万円も掛かるといわれていた。ところが来年2月1日から現在の半額に引き下げられることになった。
「公的に決めた薬価を2年に1回引き下げる、または売り上げが過大になった薬に焦点を当てて薬価を大幅に引き下げる制度がある。オプジーボは後者にあたります」
日本の薬価は行政がコントロールしている。健康保険制度で医療費を賄うからだ。だから製薬企業は最盛期の予想売上額などを申請し、価格を国に決めてもらわなければならない。
「値段を決める際の要素の1つが患者数。もともとオプジーボはメラノーマに適用されたことからはじまり、当初の予想患者は年間500人未満。この数で製薬企業が著しく不利にならないよう薬価を算定するので非常に高価になってしまった。その後、肺がんでも使用が認められ患者数が数万人になり、このままでは医療財政を圧迫する可能性があるため、次回審議の’17年2月を待たずに緊急的に薬価を下げることになりました」
オプジーボは来年2月に半額になり、再来年4月また価格が引き下げられる可能性もあるというが、この先は医療財政抑制のために、投与できる患者は絞り込まれていく。新薬を使えるか使えないか、結局は政府次第ということか。
厚労省薬価表より編集部が作成
【村上和巳氏】
ジャーナリスト。国際ジャーナリスト連盟(本部・ブリュッセル)所属。医療問題を中心に製薬、安保、軍事、震災など幅広いテーマで活動中。