これもトランプ効果?新興国の金利は上昇へ

トランプリスクが過剰に織り込まれた「ペソ」

 実は、このメキシコペソをはじめとした“マイナー通貨”に注目するトレーダーが増えている。外為どっとコム総合研究所の川畑琢也・シニアナリストも「外為どっとコムでは、メキシコペソの取引量はカナダドルよりも少ないが、スイスフランよりは多い」と話す。その魅力は、高いボラティリティと金利。メキシコの政策金利は11月に引き上げられて現在5.25%。表のとおり、トルコ8%、南アフリカ7%で、ブラジルレアルに至っては桁違いの14%にも達している。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=124748
マイナー通貨金利表

※インドルピーのスワップポイントは12月2日次点のIG証券の英ポンド/インドルピーの売りスワップを円換算で表示

 片や日本の長期金利は日銀のマイナス金利政策もあって直近ではマイナス0.06~0.03%という低さ……。そのため、スワップ狙いでマイナーな高金利通貨をトレードする人がじわじわと増えているのだ。加えて、マイナー通貨の中には先高観が見えてきているものも少くないという。 「直近では、トランプ政権下での超大型財政出動(1兆ドルを予定)により米国債が乱発されるという見立てから、米国債が売られ、アメリカの長期金利が急騰しています。その影響で“ドル一強”となっており、新興市場では資金流出が加速。マイナー通貨はいずれも過去最低の安値圏にあります。もう一段下げる可能性も十分にあるのですが、南アランドは対円で抵抗線を上抜いてきており、チャート的には先高観が出てきています。インフレ率は6%を上限とし、それを超えてくるようならば利上げを実施するので、もう一段の利上げ余地はありそう。一方、ブラジルはインフレ率が落ち着いてきたので、利下げの方向。これはレアルの売り材料となりますが、経済的には安定する方向なので、上値余地はあると見ています。同じく、メキシコは来年度に財政黒字に転換する予定なので、ファンダメンタルは良好。OPECが減産を決定したことも買い材料です」(川畑氏)  ドル使い氏も同意見だ。 「メキシコペソに限っては、かなり過剰にトランプリスクが織り込まれています。だから、11月半ばには国境につくる壁を“フェンス”にするという報道だけで、急激にペソの買戻しが入りました。長期的にはペソ安もありえますが、トランプ政権の対メキシコ政策が見えてくれば材料出尽くしでリスクは細り、ドル/ペソは大きな調整が入る可能性がある。それを狙って、今はドル/ペソをショートしています」  川畑氏の見立てでは、ドル/メキシコペソは来年にかけて22~23ペソにまで到達しても、その後は18ペソあたりまで戻す可能性が高いという。 【ドル使い氏】 シンガポール在住トレーダー。10年以上前からFX、株投資などを行っているシンガポール在住のサラリーマントレーダー。メキシコペソを絶えずウォッチしながら、ブログ「ドル使いの海外投資」でさまざまな情報を配信中。http://useusd.com/ 【川畑琢也氏】 外為どっとコム総合研究所。複数のFX会社ディーリングを経験した後、外為どっとコムへ。同社のシンクタンクで、テクニカルを中心に為替相場の分析を行っている。「@KawabataTakuya_」でもマーケット情報を配信中 ― 激アツ![マイナー通貨]には必勝法があった!! ―
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