家賃収入:約400万円
保有物件:マンション・アパート計10棟74室(札幌に4棟52室/東京に5棟15室/仙台に1棟7室)
札幌、仙台、東京に計10棟74室を所有するひろ*氏。不動産投資を始めて最初に物件を購入したのは’08年、札幌の木造アパートだった。
「東京の物件は高額で、かなりの頭金が必要になる。初心者には少しハードルが高いと思いました。そんなときに紹介された札幌の物件は、ほぼ頭金ゼロで借りられて、利回りも悪くない。目を見張るほどの収益を上げるわけではないけれど、東京の物件を買うために何年も貯金するより、できるところから始めようと決めたんです」
この物件は順調なキャッシュフローを生んだが、続けて札幌に購入した2棟目のアパートで苦戦を強いられる。
「購入する時点で22部屋中17部屋が空いていたのですが、不動産会社の『場所はいいので、募集すればすぐに埋まりますよ』という言葉を鵜呑みにしてしまいました。しかし実際に埋まったのは1部屋のみ。これはマズイと有給をとって現地に2週間ほど泊まり込み、自分で簡単なリフォームや仲介業者さんへの営業活動に着手しました。そんな私の姿を見て発奮してくれたのか、帰る前日に仲介の人が2部屋契約を取ってきてくれたんです」
週末は地方の所有物件を回ることも。そこで地方の管理会社とも関係を構築する
この経験から学んだのは、関わる人たちと信頼関係を築くことの重要性だ。
「株やFXと違い、不動産投資は人対人のやりとりが多い。とくにサラリーマンの副業では、基本的に実務は外注頼りです。管理会社や仲介業者は“パートナー”だと思って、信頼関係を築くことが何よりも重要だと思います。そうすることで、空室を埋める努力をしてくれたり、利回りのいい物件を紹介してくれたりと、うまくいく確率がぐっと高くなるんです。誰だって顔も覚えていない相手より、現場に足を運んだり、一緒に飲みに行った相手のために頑張ろうと思うじゃないですか」
つい目先の利回りや条件ばかりに振り回されがちになるが、うまくその道のプロたちを味方につけてしまうほうが、結果として効率的ということだ。
そうして当初は札幌を中心に投資をしていたひろ*氏だが、’11年の後半~’12年の前半にかけて、東京と仙台に計3つの物件を購入。なぜ勝手の違う地域に進出したのだろう。
凍結しやすい札幌のアパートの階段を滑りにくい材質に変更
「まず第一にリスクの分散。どこかが災害に見舞われても、他の地域に稼働資産を持っているという安心感は大きいです。東京と地方という観点から言えば、地方は初期投資が少なく、利回りも堅いといったメリットの反面、広告料が高く、空き部屋のリスクがある。一方で東京の利回りは低いですが、客付が早い、地方に比べ経費率が低い、そして売却まで考えたときの資産価値は高い。ですから、地方の物件は売れないのを覚悟で家賃収入を稼ぎ、それを使って東京の物件を買うことでバランスをとり、安定を図っています」
カーテンや観葉植物で部屋の見栄えを良くするなど、物件の顧客価値を高めるための施策も大家業の重要な要素だ
堅実といわれる不動産投資をさらに手堅く運営するのが地方分散型なのだ。
・業者はパートナー。人間関係を大切に
・エリアを分散させ、万が一に備える
・家賃収入は地方で資産は東京で
【ひろ*氏】
大家歴8年。本業はSE。「本業をおろそかにしない」が信条。ブログ「
不動産投資 問わず語り」
― (超)片手間でもきる[不動産投資]の神髄 ―