市場的にも人材活用的にもLGBT対応が遅れる日本企業。欠けているものは何なのか?

 LGBTとは、女性同性愛者のレズビアン、男性同性愛者のゲイ、両性愛者のバイセクシャル、出生時の肉体と心の性別が一致しないトランスジェンダーの総称で、それぞれの頭文字を組み合わせた造語だ。電通ダイバーシティ・ラボが昨年4月に全国69,989人を対象に実施した「LGBT調査2015」によると、日本において約7.6%。13人に1人はLGBTであり、この割合は日本に多い名字の第1位から第4位にあたる「佐藤・鈴木・高橋・田中」を合わせた割合とほぼ同じだという。  このLGBTを取り巻く環境がここ数年で少しずつ変化している。まず動いたのは自治体だった。2013年に国内で初めて「LGBT支援宣言」をした大阪市淀川区をはじめ、2015年には東京都渋谷区と世田谷区が、2016年には三重県伊勢市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市が同性カップルを公的に認める制度の導入を始めた。  自治体の公的書類発行は、LGBTへの社会的サービス拡大への追い風となった。ライフネット生命など生命保険各会社は、保険金の受取人に同性パートナーを指定できるように範囲を拡大。携帯大手3キャリアは、家族であることを条件とするサービスの適用範囲を同性パートナーにも広げた。最近では日本航空、全日空の国内大手2社も、同性パートナーとマイレージプログラムを共有できるように変更した。  職場環境の整備を手がける企業も現れた。日本IBMは、今年「同性パートナー登録制度」を新設し、パナソニックは同性カップルに対応するために社内規定を変更した。こういった企業の動きを後押しするように、この2社やソニー、電通、第一生命保険などを含む30の企業・団体が、LGBTに対する企業の取り組みを評価する国内初の「PRIDE指標」を策定し、今年6月21日に公表した。率先して対応を進める企業が、LGBTが働きやすい職場環境づくりをアピールし始めたのである。
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LGBTに対する取り組みを行う企業は4割弱
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