円安・株高の「トランプラリー」を後押しするのは?

トランプノミクスもあって、世界的な株高が止まらない12月

「トランプラリー」で、円安・ドル高、世界的株高が止まらない――。日本の個人投資家の間からは「待望のトランプノミクスがやってきた」「今はアベノミクス相場が始まった2012年12月にそっくり「ライブドア・ショック直前の2005年12月に似ている。あのときはどんな銘柄を買っても暴騰していた」という声も聞こえる。  11月の米大統領選以降、トランプ次期米大統領の経済政策への期待感から円安・ドル高、世界的な株高が続いている。12月13日時点で、日経平均株価は1万9000円台を維持し、NYダウも1万9796ドルと、連日、過去最高値を更新してきた。いわゆる「トランプ現象」「トランプラリー」だ。  なぜこれほど株価が騰がっているのか?この株高を後押ししている背景は2点ある。ひとつは、海外ヘッジファンドなど大口プレイヤーの存在だ。 「日経平均とTOPIXの比率を見る『NT倍率』(日経平均をTOPIXで割って算出)という指標があり、これは日経平均が強いと数字は上がり、日経平均が弱いと数字は下がります。日経平均は一部の銘柄の寄与度が大きいため、寄与度の大きいファーストリテイリングやソフトバンクなどを利用して、効率よくマーケットを操作しようとする投資家がいる。海外ヘッジファンド勢がこうした短期的な仕掛けを行うことが多く、最近ではCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー)というヘッジファンドが話題になっている」(フィスコ・マーケットアナリストの田代昌之氏)  2点目は、ドルベースで見たときの日経平均だ。 「海外ヘッジファンドは11月決算が多く、12月になると新規資金が市場へ投入され、株価が上がりやすくなる。今期はトランプ次期大統領の政策に対する期待感から、ファンドが運用資金を集めやすい。しかも日経平均は確かに上がっているが、円安が進み、ドルベースで見ると日本市場は出遅れ感もある」(マーケット関係者)という。

なぜ12月に株は上昇しやすいのか?

 トランプラリーを除いても、12月は株が上がりやすいと言われている。このことは、マーケットにおいてはっきりとした理論的な根拠を持つわけではないが、よく当たると言われている経験則、いわゆる「アノマリー」として知られている。12月~年初は、株初心者が株式投資を始めやすい時期でもあるのだ。  なぜ12月に株は上昇しやすいのか? 年末年始という時期的な事情から、「株の売り手が減って、株の買い手が増える」ことが理由に挙げられる。 「金融機関は恒常的に売り手に回ってきたが、年末年始は金融機関も市場から姿を消すため需給は改善し、株価上昇を後押しする。海外勢も12月中~下旬からクリスマス休暇入りするため、商いは減少しやすい」(マーケット関係者)  為替市場でも同様だ。 「外貨を円に替える輸出企業が休みに入ると円の買い手が少なくなり、12月下旬は為替市場が円安・ドル高に傾きやすい傾向があります。いわゆる投機筋もそのタイミングを見計らって、円売りを仕掛ける可能性があります。円安は日本株高につながりやすい」(マーケット関係者)  今年に関していうと、輸出企業は、「12月から2017年年初の分はすでに105~107円で予約済み」(某メガバンク)だったため、ドル/円は上昇しやすかったという。
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12月は1年のなかでもっとも上がる月
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