「ストレスチェック制度」実施に20数社で携わった現役産業医だから気づいた3つの反省点

1年前から入念な準備をしていた企業の場合

 1つ目の事例は新制度の社内への告知や従業員の会社への信頼度について考えさせられた事例です。  この企業(総従業員数約約2000人、受検率約90%以上、高ストレス率約約10%)は保健師の方が中心となり、複数の医師による面接指導の機会や、カウンセラー等心理職による補足的面談、相談対応など、1年前から入念な準備のもと、ストレスチェック制度を実施しました。  受検率は高かったものの、面接指導の希望者はいなかったとのことでした。面接指導の受診は義務ではありませんので、希望者ゼロも法的には問題ありません。ただし、この結果には、担当の保健師さんはがっかりしたようでした。  この事例の学びとしては、ストレスチェック制度は制度を用意すれば終わりではなく、例えば面接指導や補足的面談の担当者のプロフィールや顔写真も含めて社員に紹介することや社員への案内にプライバシーがしっかり守られることなどを明記すること(社内マーケティング)も大切ということだと思います。

前向きに取り組みたいという思いがアダに

 2つ目の事例は、補足的面談も含めた臨機応変な対応も大切と考えた内容です。この企業(総従業員数約約1200人、受検率約67%、高ストレス率約約50%)では、事前に決めていたストレスチェック制度の規約通りに、高ストレス者に面接指導の希望を募ったところ、約200人が手を挙げたそうです。  この企業は多くの事業場は小規模で、嘱託産業医がいるかいないかという状況でした。厳密にはストレスチェック制度の実施義務はない規模の事業場に対しても、会社としてメンタルヘルス対策に前向きに取り組みたいという思いでストレスチェック制度を実施していました。  指針に従った規約通りに30日以内に面接指導を200人に提供するために、最終的には外部業者の力を借りまくったそうです。色々な意味で、“高く”ついたストレスチェック制度となったようでした。  この事例の学びとしては、補足的面談の活用を次回からは考慮するということと、面接指導の案内などにおいて、産業医のいない規模の事業場も大きな事業場とまったく同じようなストレスチェック制度の運用でいいのかという点を考えるべきと思われました。
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テストの参加率が高い企業の特徴
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