建設・観光業などを幅広く展開するミャンマーの大富豪ゾー・ゾー氏(写真:South China morning post)
軍政から民主化へと変貌を続けるミャンマー。「アジア最後のフロンティア」と呼ばれ、各国が競って進出するなど開拓市場として熱視線を注がれる中、ミャンマーのサッカー界でも大きな変化が起こりつつある。この国がかつてビルマと呼ばれていた時代にアジアのサッカー大国だったことを知る者は少ない。しかし、現在、ある大富豪の支援により、育成年代が飛躍的に成長。プロリーグも発足し、古豪復活に向けて確実に着実に歩みを進めている。
ミャンマーの巨大財閥「マックスミャンマーグループ」の創設者ゾー・ゾー氏(50歳)がミャンマーサッカー連盟(MFF)の会長に就任したのは今から11年前。この間にミャンマーサッカーは大きな躍進を遂げ、昨年はU-20ワールドカップに初出場を果たし、1次リーグを自国開催したAFFスズキカップ2016では、12年ぶりの決勝トーナメント進出を果たした。この大会は、東南アジア最大のサッカー国際大会であり、ASEAN各国が最も重視している大会の一つである。
ミャンマーはこの十数年、東南アジアの中でもサッカー弱小国のレッテルを貼られてきた。30~40年前のビルマ時代にはアジアでも強豪と呼ばれる部類に入ったが、その後は長い間低迷し、1996年に始まったAFFカップ(旧タイガーカップ、現スズキカップ)では、決勝トーナメントに進出したのは2004年大会のたった一度だけ。
しかし、2005年に国内有数の大富豪ゾー・ゾー氏がMFF会長に就任したのを契機にミャンマーサッカーは再び強豪への道を歩み始めた。同氏が1990年代の初頭を日本で過ごしていたことは有名な話だ。日本滞在中はアルバイトをしながら生活し、1日20時間も働いていたという。帰国後にマックスミャンマーグループを設立。日本からの自動車輸入販売事業を皮切りに、様々な事業を展開。現在は貿易、建設、ホテル経営、鉱業などの多角経営を展開する巨大財閥に成長している。2010年末の発表時点で年商は5億USD(約555億円)。あるミャンマー人記者によると、同氏の総資産は10億USD(約1110億円)をくだらないという。