メルケルの決意。トランプ大統領誕生を前に、来年の選挙で4期目に挑むと表明
昨年からの難民のドイツへ大量の流入と極右派の躍進で9月にはメルケル首相の去就が取りざたされるほど追い込まれていた。それから僅か2か月の間に、またドイツそしてヨーロッパにおけるリーダーとして、彼女の存在がいかに必要なものなのかを認識させるような出来事がたくさんあったのである。
特に、米国で極右で排外主義者であり世界との協調路線を歩まないと思われるポピュリズムのトランプが次期大統領になるということが、メルケルをして4期目に挑むことを決めた決定的な要因であろう。何故なら、ヨーロッパがトランプの民主主義さえも放棄し自由経済をも否定するような政治に汚染されることを防ぐ必要があるからである。
西ドイツで生まれたが、父親が東ドイツで宣教活動をしていた関係から、メルケルはソ連の影響下にある東ドイツで育った。その環境からメルケルは民主国家における民主政治と人権を尊重した法制下の自由が如何に大事であるかということを肌で感じているのだろう。彼女は気取ることがなく、汚職に絡む噂は一切ないという。そして、彼女に任せれば問題を解決してくれるという安心感を多くのドイツ国民は感じているようである。また、難民問題でも周囲の反対を押し切って、難民の流入の制限をできるだけ控えるようにした。それは難民の辛さが肌で分かるからである。メルケルは「難民に支援の手を差し伸べることを国民に謝らねばならないような国家にいるつもりはない」と難民受け入れに反対する者に断固答えたという。
また、世界の両雄とも言えるオバマ大統領とプーチン大統領と対等に話が出来るのはヨーロッパでは彼女だけなのも事実だ。
オバマ大統領は、自分がドイツ人であればメルケルに投票すると言ったこともある。プーチン大統領は、世界で最も安心して相談できる相手はメルケルだと言ったという。米ロの二人のリーダーからの信頼が本物であるのを裏付けるように、首相に就任した2005年から9年経過した2014年12月のCDUの党大会で97%の支持を得て党首に再選されたというのは並みのリーダーでは達成できない快挙である。
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