P&Gが「社員の能力世界一」に選ばれる理由

超有名なP&Gの知られざるもう一つの顔とは

 このように、他社ならそれ一つで十分メーカーとしてやっていけそうな主力製品を多数抱えるP&Gなので、ここではその製品エピソードを一つ一つは記載しませんが、例えば世界でもトップシェアの『パンパース』であれば、1950年代にP&Gの開発者が孫の布おむつ替えの経験から紙おむつを考案、その後軽量化や高性能吸収材(高分子ポリマー)を進めた結果、今の紙おむつの原型になった経緯があります。  つまり、パンパース一つとっても、有名紙おむつの一つではなく紙おむつの元祖なんですよね。なので、一時期は日本でも9割のシェアを占めており、今でも病院等の7割はパンパースです。ちなみに由来は英語の『pamper(ほしいままにさせる)』から「大切に育てる」という意味です。あと、かなり意外なのが、紙おむつからの紙製品でいうと、実はP&Gは紙・パルブ業界でも世界2位の売上があり、日本で首位、世界6位の王子ホールディングスの1.5倍の売上をあげています。

超やり手企業を支える世界的な人材レベル

 そして、これほどの有力製品を持っている総合メーカーである一方で、マーケティングに極めて力を入れる企業として知られ、社内での各ブランド・マネジャー相互の競争はきわめて激しく、ビジネス誌フォーチュンにて、「社員の能力」が業種を超えて世界ランキング第1位に選ばれた、人材輩出企業としても評価が高いです。ゆえに、それらのP&Gのブランド戦略は、MBAのケーススタディの題材としてもよく取り上げられています。  このように「P&Gでーす♪」の親しみやすいイメージがありますが、実は調べれば調べるほど、プロクター・アンド・ギャンブルという、いかつい感じの正式名称の方がしっくりくる、そんなやり手の世界的企業ですが、意外に?日本は販売戦略の重要な拠点と位置づけられているらしく、シニアエグゼクティブオフィサーの桐山氏や2013年までP&G米国本社のCEOだったマクドナルド氏もP&Gジャパンの社長を経験しているのは面白いところです。 決算数字の留意事項 基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。 【平野健児(ひらのけんじ)】 1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『SiteStock』や無料家計簿アプリ『ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。 <写真/Mint Social
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