「受け入れるのに7時間」、「助けてくれ」。南米メディアが報じた「トランプ就任」への南米諸国首脳の反応

 トランプ氏が米国の次期大統領になることが決まって、メキシコのペーニャ・ニエト大統領は<それを受け入れるのに7時間を要した>という。トランプ氏の勝利は確実となった時点から時を移さず6時間後の早朝午前7時にメアデ財務省とカルテンスメキシコ銀行総裁が記者会見を行って<通貨ペソの対ドル暴落を防ぐ為にメキシコの財務の健全性と公的そして私的機関が強靭であることを伝えて<トランプ氏の攻撃の対象になっているメキシコが予測できない如何なる反応にも十分に耐えられる>ことを公言した。しかし、ペソの対ドルレートの下落は続いている。(参照:「El Mundo」)  ペーニャ・ニエト大統領は、トランプ氏が発言しているようなことを実施させようとするのであれば、「メキシコは米国と経済戦争をする構えでいる」と発言したことがあった。それに加勢するかのように、ペルーの国際政治専門家シアッパ・ピエトゥラ氏が<「ペルーは姉妹国家としてメキシコを支援する」>と発言している。そして、<「彼が言っていることを実現させるとは思えないが、ペルーはメキシコと連帯した行動を取るべきだ」>と述べた。また、<「トランプ氏はメキシコに関しての発言はもっと慎重であるべきだ。何故なら、壁を建設することなどできることではないからだ」>と述べて同氏の暴言に釘を刺した。(参照:「RPP」)  ニエト大統領が経済戦争をする覚悟でいる背景には、現在メキシコは米国の産業の下請けのような存在になっており、メキシコで生産されたものの<78%が米国に輸出されている>という事実がある。しかし、トランプ氏は、北米自由貿易協定(NAFTA)を(米国にとって)最悪の協定だと言っている。それを是正する為に<輸入関税を35%設ける>と発言している。しかし、それを実行すれば弊害が出るのは米国の方が大きいということがトランプ氏にはまだ理解できていないようである。(参照:「BBC Mundo」)  ブッシュ(Jr)元大統領の政権下でラテンアメリカとの外交を担当していたロジャー・ノリエガ氏でさえ、<ラテンアメリカは米国の一部の経済市場であると考えるべきで、この地域とは発展の為の協力が必要である>と説いている。そして、<「トランプ氏がそれを理解しているとは思わない」>とBBC Mundoの取材に答えている。
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ヒスパニックからも不満が出ていた民主党政権
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