焼酎「いいちこ」と地下鉄路線図の意外な関係

写真/ume-y

下町のナポレオン、いいちこは大分の方言で「いいですよ」だった

 三和酒類は、1958年設立の「下町のナポレオン」こと大分麦焼酎『いいちこ』で知られる会社です。現在も『いいちこ』の他にも清酒、ワイン、リキュール等も生産しているのですが、元々は日本酒酒造メーカーで、酒類の生産および消費はともに冬に集中しており、逆に言えば三和酒類も多忙なのは生産期のみであったところ、昭和40年代に入って大手日本酒酒造メーカーが九州に進出すると日本酒の価格競争が激化してきたため、その苦境から脱するために焼酎製造に参入しました。  参入当時の焼酎のイメージは「安かろう悪かろう」「日本酒は贈答用になるが、焼酎はならない」。当初は苦戦したものの、やがて香りがきつく濁りのあった従来の麦焼酎の難点を解消した、大麦と麦麹を使った華やかな香りで軽い口当たりの「新本格焼酎」の開発に成功します。そして、地元紙の公募で大分県の方言で「いいですよ」を意味する『いいちこ』と名付けられた新商品は、今でも流通量の8割以上を扱う大手酒類卸の日本酒類販売が潜在能力を早期に見抜いて協力営業体制を引いたことや、大分県のバックアップもあって、ローカルヒット商品から一気に全国区のヒット商品となり、1980年代の焼酎ブームを牽引します。
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流れると不思議な空気で茶の間を包むCMの背景とは
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