今年も日本に入ってきた「偽装マツタケ」。なぜ北朝鮮産は中国産に偽装されるのか?

手前の中国吉林省図們と奥の北朝鮮南陽との間を細い川が流れる

 北朝鮮産が吉林産に偽装される理由は、両マツタケ産地が陸続きで、ほぼ同じ気候、土壌のため、専門家が解析してもマツタケの成分や付着する土壌からの判別が難しいため容易に偽装ができるからである。吉林省延吉の取扱業者によると、吉林産に比べ北朝鮮産の方がやや小ぶりで、収穫時期が少し遅いなどの違いはあるそうだが、素人が区別するのは非常に難しい。  吉林産のマツタケを売買する延吉では、中国産を証明する書類と北朝鮮産を混在させていないという「誓約書」を添付して日本へ輸出しているが、まったく意味をなしていないようだ。  日本で販売される輸入食材や食品にはJAS法により生産国を表示する義務がある。しかし、吉林や雲南などの生産地まで表示する必要はないため、これも悪用され北朝鮮産を偽装することが少ない雲南の土をわざわざ北朝鮮産へつけ、万が一、偽装が疑われても雲南の土がついているため雲南産と強引に主張するためのカモフラージュを施す業者もいるなど手口が巧妙化している。  ではなぜ、ここまでして北朝鮮産マツタケを中国産に偽装するのだろうか。
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「中国産」を偽装する理由
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