「相手の反論」をどうしたら収束できる? 鍵は「結語」にあり!

 結語転換とは、文字通り、結語を入れ替える話法だ。例えば、「その商品の質が高いのはわかるが、価格が高い」という反論を受けたとしよう。その反論に対して、前段と後段を入れ替えて、「価格が高いとお感じとはいえ、商品の質の高さに着目いただいているのですね」とリアクションする方法だ。日本語は、結論が文末に配置されるケースが多い。文末にきたフレーズは、次の話につなげやすい。この点に着目して、文末に、自分が誘導したいフレーズがくるように、言い変えるのだ。  応酬が収束しないのは、相手が反論した領域で争うからだ。この例では、価格が高いか低いかを、いくら論争しても、相手が高いと思っていることを、低いと思うように、相手の考えを変えさえることは難しい。相手が応酬をやめたとしても、それは相手が考えを変えたからではなくて、応酬自体をする気持ちがないだけだというケースが実に多い。

結語転換で、賛同を得た領域をまな板にあげる

 見解の相違がある領域で言い合いをするよりも、部分的にでも、不十分でも、推測でも、賛同を得ているだろう領域でやりとりをした方が、はるかに容易だ。この例では、相手は「商品の質が高いのはわかるが」と言っているので、商品の質の高さに話を移行していけばよい。見解が一致している領域を、やりとりの土俵に上げて、賛同のレベルを確認していくのだ。 「価格が高いとお感じとはいえ、商品の質の高さに着目いただいているのですね」という結語転換を繰り出せば、まず、反対する相手はいない。商品の質が高いと言っているのは、相手の人自身であるからだ。少なくとも、そこで、「いやいや、とにかく価格が高いということが問題なのだ!」と切り返してくるなどの、明確な反論が返ってこない限り、その後、商品の質の高さでやりとりすることができる。そして、価格が高くても質が高いもの買いたいという気持ちに誘導していけばよい。
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単なる反論からどう「結語転換」する?
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