「千客万来施設」用地(豊洲市場5街区)。まだ工事は進んでいない。 奥に見えるのは豊洲市場「青果棟」
市場に隣接する複合商業施設、「盛り土問題」で工事進まず
前回の記事では、開業から約10年間に亘って殆ど利用客がない状態だった市場前駅の現状を報告した。
この市場前駅に隣接するかたちで、市場前駅西側(6街区・水産仲卸売場棟の横)と南側(5街区・青果棟の横)の2ヶ所に亘って建設される予定となっているのが、豊洲市場の目玉施設である複合商業施設「千客万来施設」(仮称)だ。しかし、これらの工事はまだ殆ど進んでいない。
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市場前駅周辺の概略図(東京都資料と現地取材により筆者作成)
「千客万来施設」とは、現在の築地場外市場のような物販・飲食機能に加えて、温浴・宿泊施設も備えた大型の複合商業施設だ。
東京都の公募の結果、当初は「喜代村」(「すしざんまい」運営企業)と「大和ハウス工業」により運営される予定であったが、条件が折り合わなかったとしていずれも2015年に撤退。再公募の末、2016年3月に、全国で温浴施設を運営する「万葉倶楽部」の運営となることが決まった。
万葉倶楽部では、千客万来施設の運営コンセプトを「豊洲江戸前市場」と定めており、江戸の街並みを再現した飲食街と物販施設(合わせて200店舗前後の規模)、そして24時間営業の温浴・宿泊の機能も兼ね備えた建物を新築する予定で、国内外から年間193万人の来場者を見込んでいるという。