三井不動産が「再生医療」!? 不動産トップが目指すもの

「31 VENTURES」は、<三井不動産グループによる国内外の幅広い事業領域を活用し、ベンチャー企業の成長を「コミュニティ」「支援」「資金」を核に総合的に支えるプラットフォームを構築>することを標榜している。  つまり、三井不動産は、不動産というハコを提供するだけでなく、人材、販路、資金など、あらゆるものをワンストップで提供していこうとしているわけだ。その流れの一つがLINK-Jであり、「第1回再生医療産学官連携シンポジウム」の開催なのだ。

photo by bryan... via flickr(CC BY-SA 2.0)

 そして、この三井不動産が日本橋を本拠地にしているのは、医学、理学や工学、ICTや人工知能といった新たなテクロノジーなど、あらゆる科学の複合領域であるライフサイエンス領域におけるオープンイノベーションや、分野を超えた内外の人的交流・技術交流を目指す上で非常に好都合だと言える。  というのも、江戸時代から日本橋には薬問屋が集まり、現在も日本を代表する医薬品企業の本社が多い。アステラス製薬株式会社、興和株式会社、三共株式会社、ゼリア新薬工業株式会社、第一製薬株式会社、中外製薬株式会社、鳥居薬品株式会社、万有製薬株式会社、わかもと製薬株式会社などの本社がある。また、同エリアに集積するライフサイエンス関連の企業は400社とも言われるのだ。  また、豊富な商業施設や宿泊施設などの魅力的な都市環境を備え、国内外から情報・人・投資家の注目を集めることができる場所でもある。  実際、「第1回再生医療産学官連携シンポジウム」の「第3部 LINK-J創立記念シンポジウム~エコシステムの構築について~」にで登壇したノーベルファーマ株式会社 代表取締役社長 塩村仁氏は、日本橋の良さとして、主要な製薬企業、大学、病院、研究機関と1時間でアクセスできること、厚生労働省や文科省とも距離が近いこと、新宿や六本木などよりも家賃が安いことを語っている。
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不動産会社によるベンチャー共創の未来
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