安価な原油の提供と交換に軍事基地の建設承認をキューバに迫るロシア
キューバの深刻な原油不足を補うべく、キューバと友好関係にあるアルジェリアが10月に51万5000バレルをキューバに輸送することになっている。更に、11月か12月にも発送が予定されているという。(参照:『Diario Las Americas』)
しかし、この供給も一時的に需要不足を補うだけである。キューバが求めているのは安定した供給先である。しかも、価格と支払い面で優遇した条件で提供できる相手である。
キューバにとって、それを期待できる相手は一か国しかない。ロシアである。9月にラウル・カストロ議長がロシアに原油の供給とそれに関連した商品の供給をロシアに正式に要請したということが公にされた。しかも、その要請には価格と支払い条件がキューバにとって容易であることというのが付け加えられたとされている。その要請の中で、キューバ政府は契約すれば支払い条件は必ず満たすと保障したという。これについては、ロシア経済省はエネルギー庁にキューバの支払い能力には非常に危険性が高いと伝えたという。(参照:『HispanTV』)
国交を回復したばかりの米国に、この要望を差し向けることもできる。しかし、キューバは敢えて、長年信頼関係にあるロシアに頼ることにしたようだ。しかも、米国のオバマ政権は残り僅かで、議会でもキューバとの国交回復に反対している議員も依然多くいる。その影響で、仮にそれが議会に掛けられた場合に、承認されない可能性もある。それらのことをキューバ政府は考慮したようである。
それに対するロシアの回答はまだ明確にされていない。しかし、ロシアは希望通りの原油を提供するのと交換で、キューバのハバナ港かシエンフエゴス港にロシアの軍事基地を建設をキューバが承認することという条件が付いて来る可能性がある。仮にそれが実現されれば、外交専門家の間では、米国とキューバの<国交継続に危険性を脅かす可能性が十分にある>と指摘している。(参照:『Deutsche Welle』)
<文/白石和幸 photo via kremlin.ru(CC BY 4.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
切り札を握る「ロシア」
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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