まず給与体系を「見直した(検討している)」と回答した企業について、業界別に見ると、もっとも多いのが「小売」業界の 48.9%、続いて「運輸・倉庫」が43.4%、「製造」が41.0%と、それぞれ4割を超えた。帝国データバンクは、「非正社員の雇用割合が高く、最低賃金の引き上げが直接的に給与体系の見直しにつながっている様子がうかがえる」と、その背景を分析。一方で、「金融」業界が1割台の18.1%にとどまるなど、業界間で大きく対応は異なっていた。
また、従業員を実際に採用するときの最も低い時給について尋ねたところ、全体平均で約958円と、改定後の最低賃金である823円を135円上回った。
都道府県別の比較では、改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最大だったのは「東京都」で165円。しかし、以下に「島根県」の162円、「沖縄県」の161円、「鹿児島県」の159円、「福岡県」の156円と、西日本が上位を占めた。
また、今回の引き上げ額については、「妥当」と考える企業が40.5%で最多。11.6%の「高い」、18.1%の「低い」を大きく上回り、総じて今回の最低賃金の引き上げが企業側に受け入れられている様子が伺えた。
自社の業績に対する影響では「影響はない」が57.9%で最多。他方で「プラスの影響がある」は1.7%にとどまった一方、「マイナスの影響がある」は21.7%と2割を超えるなど、最低賃金引き上げが自社の業績に与える影響を懸念する声が多く挙がった。この傾向は、引き上げ額が「高い」と感じている企業ほど顕著で、とりわけ「飲食店」や「家具類小売」「飲食料品小売」ではっきりと表れた。