フィリピンの「ダーティ・ハリー」の中ロへの歩み寄りを警戒するアメリカ
今年6月にドゥテルテが対立候補を大差で破って大統領に就任すると、フィリピンの外交が一挙に180度転換するのである。フィリピンはスペイン統治から1898年に米国の支配下に入り、それが1946年まで続く。そして今日まで米国の忠実な同盟国となっている。それは、ドゥテルテから見れば国は貧困が続き、それは国家の主権のない植民地時代のままのように映っていたようだ。そこで、彼が大統領になると、マニラのビリャモール空軍基地での48周年行事の中で「(米国との)軍事関係を切るのではない。しかし、独立した外交政治を展開させて行くのだ」と述べて主権の回復を訴えたのである。また、別の機会では、「我々の国家の主権について真剣に話し合う時が来た」とも語った。(参照:『LA VANGUARDIA』)
「ダーティ・ハリー」のドゥテルテには外交儀礼は通用しないようである。それがオバマ大統領を批判する暴言となったりしている。そして、外交を表面的で、しかも単純な国家間の組み合わせでしか考えられないようだ。その具体例が、米軍がフィリピンの5か所の基地を利用できるようになった2014年にアキノ前大統領とオバマ大統領によって合意に結ばれた防衛協力強化協定(EDCA)をドゥテルテ大統領はあっさり反故にするかのような姿勢を取ったのである。そして、国家の主権と独立を守るために反米に転じて、中国そしてロシアとの関係強化に動いたのである。
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