しかし、オバマ大統領とネタニャフ首相の関係は良好とは言えないのも事実だ。
ではなぜ来年1月に退任するオバマ大統領がこれだけ巨額の支援を決めたのか。その理由は中東のパワーバランスにある。
なにしろ、イスラエルを取り巻くシーア派の周辺諸国はイスラエルの崩壊を狙っている。特に、昨年、核協議で合意に至ったイランの中東での影響力が次第に拡大していく方向にある。イランにとって、イスラエルは中東における異物として、存在してはいけない国だと見ている。イランはこれから益々軍事力を強めて行き、イラク、シリア、レバノンを勢力圏に収める野望を持っている。レバノンのヒズボラはイランとつながりが深く、ミサイルと砲弾を10万発備えており、その攻撃の照準をイスラエルに向けているという。戦争になれば、ヒズボラは毎日1200発のミサイルをイスラエルに打ち込む用意があるとしている。(参照:「
Hispan TV」 、「
Hispan TV」)
更に、パレスチナのガザ地区のハマスもイランとの関係を深めている。
そうした背景があるため、イランの脅威をひしひしと感じているアラブ連合諸国は、すでに同盟関係を結んでいるサウジアラビアとヨルダン以外も、イスラエルとの関係強化に動いているのだ。