――フェリー問題は民間企業間の契約トラブルにすぎず、新潟県に損害を与えたわけではなかった。しかもボロ船を売りつけようとした韓国企業は「ある県議会メンバーが関心を示している」「『新潟日報』が力になってくれる」とメールに書いていたそうですが。
田中俊一・原子力規制委員長に申し入れを行う泉田知事(2015年8月24日)
泉田:あるところから「『航路問題で泉田知事の首を取る』というプロジェクトが進んでいるようだが、現状どうですか」との取材の申し入れがありました。ということになると、単なる報道の問題ではなくて「政治的な狙いも含んだもの」と理解せざるを得ない。だからこそ(県の反論が掲載されずに県民に)届かないのだと思いました。
今回の県知事選は「原子力防災にどう向き合うのか」などを問うべきですが、私が出ると航路問題ばかりに焦点が当たってしまう。これまでの福島原発事故の総括で、原子力防災でいくつもの穴があったことが分かっています。柏崎刈羽原発の5~30km圏には屋内退避する住民が約44万人もいますが、「ヨウ素剤配布」「屋内退避時の余震リスク」「避難バスの運転手確保」などの問題が積み残しになっています。
「原子力災害対策指針が妥当なのか」を議論することが知事選の争点です。「県民の健康、生命、安全、原子力防災など、本来議論すべきことを議論できる環境になってほしい」ということが撤退の理由です。原子力防災の議論を引継ぐ候補者が出ることを期待しています。