自転車の「ながら運転」、罰金はいくらか?

逆走や傘さし運転、歩行者専用ゾーンの走行など、自転車の運転マナーは悪化する一方。自転車が加害者になった場合、高額な賠償を迫られるケースも増加している。

自転車で「切符切られる」時代がやってきた!【後編】

⇒【前編】はコチラ 自転車 交通事故に関わる損害賠償事案に詳しい、好川久治弁護士は、自転車が加害者側になった事故によって生じる刑事と民事の責任について、警鐘を鳴らす。 「道交法違反による罰則だけでなく、もしも事故を起こして他人を怪我させたり死亡させたりすれば重過失致死傷罪に問われます。例えば、’11年5月、前を自転車が横切ろうとしたため、回避した自動車が歩行者に衝突して2人が亡くなった事件があります。大阪地裁は、自転車の男性に禁錮2年の実刑判決を下しています」  しかもこの被告の場合、自動車運転免許の停止処分まで受けた。 「酒酔い運転や救護義務違反などの重大違反に対しては、道路交通法103条1項第8号に規定する『免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき』に該当するとして、免停処分を受ける場合があります」  また、自動車が起こした事故の場合、被害者への補償は保険でカバーできるが、保険に入っている自転車は現在15~20%程度。事故による損害賠償責任を、丸裸で負わねばならなくなる。 「自転車の少年が、坂を下っている途中で歩行者と衝突し、寝たきり状態にしてしまった事件があります。これに関する民事の裁判で、神戸地裁は、少年側に9500万円の賠償を命じました」  とはいえ、これだけ脅かされても、自転車を捨てる選択肢は現実的ではないだろう。ならばせめて道交法の遵守と、まさかの時のための保険加入は、ぜひとも心に留めおいてほしい。

やりがちな違反と罰金

<違反行為/適用される条文/適用される罰則> ●一方通行を逆走/道交法8条/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 ●一時停止標識無視/道交法43条/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 ●酒酔い運転/道交法65条/5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 ●ヘッドホンで音楽を聞きながらの運転/都道府県道路交通規則(法第71条第6号による)/5万円以下の罰金 ●スマホをいじりながらの運転/都道府県道路交通規則(法第71条第6号による)/5万円以下の罰金 ●右折レーンに入っての走行/道交法34条3項/2万円以下の罰金又は科料 ●信号無視/道交法7条/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 ●並進通行/道交法19条/2万円以下の罰金又は科料 ●右側の路側帯通行/道交法17条1項、同条の2/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 ●無灯火運転/道交法52条/5万円以下の罰金 ●急な進路変更/道交法26条の2/5万円以下の罰金 ●傘さし運転/都道府県道路交通規則(法第71条第6号による)/5万円以下の罰金 ●二人乗り/都道府県道路交通規則(法第57条2項による)/2万円以下の罰金又は科料 ●「自転車及び歩行者専用」の標識のない歩道を通行/道交法17条、同条の2、63条の4/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 ●歩行者通行妨害/道交法63条の4/2万円以下の罰金又は科料 ●踏切一時停止違反・遮断踏切立ち入り/道交法33条、同条2項/3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 取材・文/林バウツキ泰人 野中ツトム(清談社) 長谷川大祐(本誌)