更に、MSFが指摘しているのは、イエメンの診療施設が日に日に悪化していることだ。<MSFが資金支援をして650人の患者の透析を行っているが、その設備もいずれは使えなくなる時が来る>と述べている。その時が来れば患者は死と直面することになるのだ。同じように、喘息や高血圧なども通常であれば医者の看護で問題にならない病気も医療が行き届かなくなった時点で同じく危険な病気となる。(参照:「
Europa Press」)
MdMも、人口の8割は病気や栄養失調で医療支援が必要だと述べている。そして、その半数の人は食料の入手が保障されない状態にあると指摘した。その一方で、医療設備の25%は既に破壊されていると厳しい医療状況にあることも伝えた。(参照:「
Internacional」)。
この二つの医療団体が撤退したあとは縮小された現地の医療スタッフが対応することになっている。
武力紛争が起きれば、いつもその犠牲は一般の罪のない市民が負うことになる。しかも、病院という治療をする所でも身の安全が保障されないという事態まで発展している悲惨なイエメン内戦である。ヨルダンがこの和平交渉の場を提供しているが、紛争が収まる様相は全くない。サウジアラビアとイランの代理戦争化しているこの紛争は更に激化する可能性の方が強い。
<文/白石和幸 写真/
国境なき医師団>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身