高まるドイツ銀行破綻の懸念。ドイツでは家庭用金庫が売り上げ増

巨額負債を抱えるドイツ銀行

 世界的に景気低迷にある中で、ドイツ銀行は厳しい未来が待ち構えている。現在のドイツ銀行は75兆ドル(約7500兆円)相当の金融取引で派生したデリバティブ債を抱えているという。この総額はEU全体のGDPの5倍、ドイツGDPの20倍に相当する規模にまで巨大化している。仮にドイツ銀行が破綻したとしても、ドイツ政府がそれを補填することが出来ない額である。簡単に言えば、世界恐慌を引き起こすに十分なリスクを背負っているということである。この取引の中には、将来財政破綻しても不思議ではないギリシャへの債権や、同行の歳入の19%をEU離脱を決めた英国に依存しているという危険を伴っている。また、最近からまた騒がれているイタリアの銀行危機とも関係している。(参照:「El Blog Salmon」)  ドイツ銀行は昨年67億ユーロ(7370億円)の赤字を計上している。更に、同銀行の株価は今年45%の下落、2008年から比較すると90%以上の評価損になっているという。同行の競争力が落ちているのである。米国で廃ガス不正問題を起こしたフォルクスワーゲン社のメインバンクもドイツ銀行で、不正問題に関係して伴う巨額の賠償金などにもドイツ銀行がその為の必要資金の工面をせねばならない。経営難である上に、この多額の資金の工面は同行への経営不安をより高めることになる。  更に、問題として収益率の低下もある。そのひとつは欧州中央銀行の政策金利が0%になっているのも一般に銀行の収益率の悪化に繋がっている。2009年からヨーロッパの金融業界での利息による収益率は7%減少したという。(参照:「ABC」)  これは、ヨーロッパの景気低迷で資金需要が減少して銀行からの融資を求めることが減少していることによる。特に、ドイツのように、財政緊縮政策を政府が実行して来た影響で、公共事業が減り、企業の方で請け負う仕事が減少して銀行に融資を求める必要がなくなったことによるものである。それが、連鎖反応して関連企業でも資金需要が必要でなくなっている。
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欧州経済の「爆弾」
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