中国の中秋節に向けて繰り広げられる月餅商戦は風物詩だ
月餅(げっぺい)とは何か、ご存知だろうか?旧暦8月15日(=年によって違うが、今年は9月15日)の中秋節になると、決まって話題になる中国伝統のお菓子である。日本にも中秋の名月という言葉はあり、十五夜には団子を食べる習慣があるが、中国の中秋節はれっきとした国が定める祝日。月餅も単純に「食べて美味しい季節モノ」というわけではなく、お歳暮などと同様、企業同士やお世話になった人などへの贈答品としての意味合いがある。8月中盤からはどこのスーパーやデパート、ショッピングモールも特設コーナーを設け、山積みにした月餅を売り出す。
ひとくちに「月餅」といってもそこは広大な中国のこと、地方ごとに大きさや材料など、さまざまなバリエーションが存在する。主流は南方の広東省式で、よく似た香港式とあわせて出荷量の60%を占め、続いて雲南式、蘇州式などがあり、また最近は伝統的な味・スタイルを離れた多彩な味や、果てはアイス月餅なども出現している。一方、近年中国でも遅まきながら食の安全に関する法律整備が進み、15年10月に改正施行された「食品安全法」によって事業者責任などが明確化された。また、特に月餅については同12月に国家が定めるガイドラインが更新され、地方ごとに6種類に分別の上、それぞれが満たすべき味・形状・原材料などの仕様を細かく規定するなど、消費者権益の保護も同時に進められている。