Uberとのシェア争いを制した中国の配車アプリ最大手「滴滴出行」
8月1日、配車サービスの米Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)の中国事業はUber China(中国名・優歩)が、中国の配車アプリ最大手「滴滴出行」(Didi Chuxing、ディーディー チューシン、北京市)により株式交換を使った合併方式で買収されることが発表された。滴滴出行は、ユーザー3億人以上の世界最大の中国配車サービス市場でシェア9割を占める。シェア2位のUber Chinaは、自力開拓を断念することになった。
Uber Chinaは、登録運転手には助成金を与え、タクシー代わりに配車を求める消費者には割引料金を適用し、年間10億ドル以上の赤字を垂れ流してきたが、滴滴出行のシェアを奪うことができなかった。
結局、Uber Technologiesは、Uber Chinaの事業を滴滴出行へ譲渡して、滴滴出行の株式を取得・保有することになった。
UberのCEOトラビス・カラニックのfacebookポスト
Uber のCEOであるトラビス・カラニックは、フェイスブックで、Uber China事業譲渡に関する説明をポストしている。
“Team, I wanted to let you know that we have reached an agreement to merge UberChina with Didi Chuxing. UberChina’s value will represent a 20% stake in the combined entity with Uber being Didi’s largest shareholder. Let me explain why we are doing this.”
(チームへ、Uber Chinaが滴滴出行と合併する合意に達したことを伝えたい。Uber Chinaの企業価値は合併新会社の20%に相当し、Uberは合併新会社の最大の株主となる。なぜ我々が事業譲渡を実施したのか説明したい。)という文章から始まるこの投稿は、「中国市場で経験を積むことができてよかった」というような論調で終始しており、「なぜ我々が事業譲渡を実施したのか」の理由がはっきりとは記されていない。
しかし、次のセンテンスからは、その事情を察することができるように思える。
”Sustainably serving China’s cities, and the riders and drivers who live in them, is only possible with profitability.”(中国の都市や、都市に住むライダーやドライバーに対してサービスを提供するサステナビリティ(持続可能性)は、収益性が伴うことをもって、はじめて可能になる。)
端的に言えば、「収益性が見込めないため」ということだろう。Uber Chinaの収益性が低い、というよりも、赤字を垂れ流してきたのは、ドライバーに対する補助金によるものだと言われる。運転手に補助金を出し、契約車両を増やそうとしていたのである。強烈なシェア確保の競争のための施策が裏目に出た結果だと言える。