都民のための地銀「きらぼし銀行」は、なぜ新銀行東京を救済したのか?

統合による大きなメリットとは?

 また、都民銀行と八千代銀行は、首都圏内に複数の自社物件支店を持っているため、合併による支店統合により、経営の効率化に加えて所有不動産の収益化を図ることができるのも大きなメリットであろう。  一般的に、銀行の統合などによって生まれた支店跡の余剰不動産は銀行にとって大きな資産となると捉えられがちであるが、実は、地方銀行では、各都市の一等地に店舗を構えるメガバンク(都市銀行)とは異なり、支店跡の売却・再活用が困難を極め、”不良資産”と化してしまうことさえも非常に多い。

地方都市では、経営統合で閉鎖されたまま長期に亘って利用されていない銀行跡を見かけることも多い。(福岡県)

 しかし、全店が首都圏にある「きらぼし銀行」では、統合によって生まれる支店跡は殆どが都内の駅近くの物件と考えられ、収益化も比較的容易なものとなることは間違いない。もちろん、賃貸物件である重複支店においても、多額の家賃を払ってまで出店を続ける必要がなくなる。  さらに、23区内を主な地盤とする都民銀行と、多摩地区・相模原市周辺を主な地盤とする八千代銀行では、支店の重複も比較的少なく、統合のために閉鎖される支店も10支店前後に留まると見込まれ、東京都の地銀同士でありながら効率的に事業エリア拡大を図ることができる経営統合であると言えよう。
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名前通り輝けるのか?
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