「新知事が何と言おうが、豊洲移転は予定通り進める」姿勢の東京都
ところが都は、都知事選の間に築地市場解体工事を発注していた。
築地・豊洲を視察、説明を聞く小池知事
「新知事が何と言おうが、豊洲新市場開場は11月7日に予定通り進める」というのが都の考え方なのだ。
「小池都政、攻防火蓋 2日に初登庁」と銘打った8日2日付『日本経済新聞』には、築地移転に関する都庁幹部の本音が紹介されていた。そのコメントは「リップサービスの部分もあった選挙公約をいかに現実の政策に落とし込むか。擦り合わせを急がないといけない」というものだ。
築地移転問題に長年取り組んでいる東京中央市場労働組合の中澤誠執行委員長は、「複数の記者が教えてくれましたが、小池知事は都の職員や都議に『11月7日の移転延期をしたら大変なことになる』と“恫喝”されているようです」と話す。
その兆候は、8月5日の初の定例記者会見でも垣間見えた。築地市場移転について小池知事は、関係者からのヒアリングへの意欲を示す一方で、「既にオンゴーイング(進行中)の話だと承知をいたしております」「(豊洲新市場開場の)11月7日というのはもう決められている」という言い方をしたからだ。前知事時代の政策継承を目論む抵抗勢力の“恫喝的説明”に怯み、公約実現に欠かせない「移転延期の宣言」をためらっているのではないかと見る関係者もいる。
記者は会見で、築地市場に関して「『(移転)延期はあり得る』という理解でよろしいでしょうか」と確認したが、小池知事は「いや、それは仮定の話でございます」という曖昧な答えに止まった。
「数か月の移転延期」を決断して抜本的な見直し(築地市場での営業継続など)に踏み込むのか。それとも「11月7日の豊洲移転・開場」は不動のものとして対応するのか。
築地市場問題は、都政刷新を掲げた小池知事が抵抗勢力に丸め込まれるのか否かを見極める試金石になりそうだ。知事は移転延期の方針を固めたとも報道されているが、果たしてどんな決断を下すのか。
移転延期を決断した場合、9月1日から始まる都政改革本部でのオープンな議論が次の主戦場となる。
取材・文・撮影/横田 一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた新刊
『黙って寝てはいられない』<小泉純一郎/談、吉原毅/編>に編集協力))