福島県富岡町、全町避難の住民が立ち上げた「復興メガソーラー」

売電収益を生活再建と地域の未来のために

地域の将来について語る遠藤陽子さん(左)と道仁さん

 プロジェクトは「富岡復興ソーラー」と名付けられ、最終的には地域住民が主体になった自然エネルギー事業としては桁外れに大きい、33メガワット(一般家庭約1万世帯分の電力)という大プロジェクトになった。  この事業の特徴は、遠藤陽子さんが代表を務める「一般社団法人富岡復興ソーラー」が、売電収益を地域貢献につなげるというはっきりとしたビジョンを掲げていることだ。発電事業の収益は、20年間合わせて30億円以上(見込み)。  具体的には、避難指示解除後に町に戻る人をサポートする送迎サービスや、若手の農家が自立的な経営をするための支援などが検討されている。 「地権者の生活再建に加え、地域の未来のために投資をできればいい」と遠藤陽子さんは言う。  富岡復興ソーラーの設備工事は2016年秋に着工開始、2018年の3月頃には発電を開始する予定だ。プロジェクト事業費の一部には、全国の市民から出資を受ける「市民出資」の仕組みを取り入れている。市民出資は「自然エネルギー市民ファンド」という会社を窓口に今年10月まで募集している。福島原発事故からの復興をめざす、地域住民のチャレンジに注目したい。 取材・文・撮影/高橋真樹(ノンフィクションライター。『ノンフィクションライター高橋真樹の全国ご当地エネルギーリポート』をWeb連載中。著書に『そこが知りたい電力自由化—自然エネルギーを選べるの?』<大月書店>など)
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