円山動物園では、寒冷地に住むレッサーパンダの部屋の冷房用に雪を利用していた
8月24日、小泉純一郎元首相が札幌市内の「雪冷房施設」を視察。その可能性に注目した。
「雪冷房施設」とは、冬に積もる雪を貯蔵して、春から夏に冷房として利用するというシステムだ。現在、北海道や新潟県で普及が進み、西は鳥取県や広島県までも雪エネルギーの利用が広がっている。
除雪に年200億円なら、それを「雪冷房」に遣えないのか
小泉氏は札幌市内で雪冷房施設を導入している「(株)アミノアップ化学」「五島冷熱(株)」「札幌市円山動物園」と、冷房用の雪を堆積している「ソリトンコム(株)」の現場を視察。小泉政権で国対委員長や政調会長を務めた中川秀直氏もこれに同行した。
札幌市では毎年大雪に悩まされていて、流雪溝(道路下の水路に河川水や下水道処理水などを流して、雪を河川に運ぶ)などにかかる除雪費用は年間約200億円だという。
それを聞いた小泉氏は「それならその分、こうした雪の利用に切りかえたらいいんじゃないか。札幌市は何をしているんだ」と、同行した札幌市関係者に詰め寄った。
札幌市内の雪冷房施設を視察する小泉氏(左端)と中川氏(右端)
「もっと小規模な雪冷房施設をたくさん造って、札幌市内に普及させることはできないのか」(中川氏)
「どこかに雪を集めておいて、小さくカットして夏に配ることはできないか。それで収益を出すことはできないのか」(小泉氏)
日本国土の51%、総人口の15%にあたる地域は「豪雪地帯」。こうした地域では、雪は“やっかいもの”で、除雪や融雪に多くのエネルギーや人件費をかけている。その弱点を逆手にとったのが「雪エネルギー利用」だ。