こんな貴重な資源を、カネをかけて捨てていていいのか
雪堆積場を視察する小泉氏一行。夏でも雪がわずかながら残っている
講演会を主催したNPO法人「雪氷環境プロジェクト」の小嶋英生氏によると、人口約200万人、“世界で最も雪の降る大都市”である札幌市の消費電力は年間95億kWh。そのうち、雪エネルギーを有効活用できれば32億kWhがまかなえる計算だという。
雪エネルギー研究の第一人者である室蘭工業大学の媚山政良氏は「雪1kgあたり80kclの熱量があり、雪1トンあたり原油換算で約10リットルに相当する」と試算している。しかも、このエネルギーは二酸化炭素をまったく排出しないクリーンなエネルギーだ。
その後、札幌市内のホテルで行われた後援会の冒頭で小泉氏はこう語った。
「今まで“やっかいもの”だった雪をエネルギー源にできる。こんな貴重な資源を、金をかけて捨てていていいのか」
札幌市内で行われた講演会で「自然エネルギーはこれからもっと発展する」と語る小泉氏
講演を終えて帰りのバスに向かう小泉氏に、記者は今日の視察の感想を尋ねた。
「北国を中心に、日本全国でこの雪エネルギー利用が進むといいね。そうしたら、北海道の泊原発をはじめとして、原発再稼動なんて必要がなくなる」
取材・文・撮影/北村土龍 横田 一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた新刊
『黙って寝てはいられない』<小泉純一郎/談、吉原毅/編>に編集協力))