韓国統一省は、集団脱走への韓国政府の関与を否定し、彼女たちの意志による自発的行動だと主張する。
一方、韓国大使館関係は、政府発表通り直接的な関与は否定するも脱走支援については言葉を濁す。脱北事情に詳しい関係筋によると、「支援」とは、レストランの男性マネージャーへ半年に渡り接触し、韓国のDVDや北の現状を伝える映像を見せるなど情報提供したことを指す。その後、男性マネージャーは女性スタッフたちを説得し、自発的な脱走決行となったという。
「北朝鮮は国外でもピラミッド型の監視組織で行動しますので、一番上を説得してピラミッドの下へ落としていくのが最良の手段です。当然、脱走に必要な経費も援助しています」(脱北事情に詳しい関係筋)
2014年5月開業のクアラルンプール国際空港第2ターミナル
韓国統一省の発表によると、集団脱走した13人は、浙江省寧波空港からタイのバンコクを同日経由し、マレーシアのクアラルンプールで1泊して訪韓、入国を果たしている。
北朝鮮国籍者は、タイではビザが必要なので入国せずに同日乗り換えし、ビザなし入国できるマレーシアへ入国している。正規旅券で中国を出国したので中国側にも落ち度はなく、合法的な脱出だった。かなり綿密に練られた計画だったと言えるだろう。
先日、韓国へ亡命した13人は4か月に渡る調査が終わり、施設を出たと韓国メディアが伝えたが、入国後の彼らの動向はあまり報じられなかった。
「当初、全員で記者会見することも検討されたのですが、北に残した家族へ危害が及ぶことを恐れ会見は取り止めになりました。接見した弁護士によると、彼女たちは北朝鮮へ戻る意思はないと言っているそうです。韓国政府としては彼女たちの意思を尊重して他の脱北者同様に自立できるように援助を続けていきます」(韓国大使館関係者)