ベストセラー『さおだけ屋~』著者が編み出した「負けない」投資術とは?
2016.08.31
’05年の発売以来、累計164万部を突破し、今なお売れ続けるベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』。その著者である公認会計士・税理士の山田真哉氏は、株やFXなどの投資家としての顔も持っている。だが一方で、その膨大な額の印税をFXにつぎ込み、溶かしてしまったという破天荒な投資体験をしたことも。最近では、そういった自身の経験も交えながら、お金や経済、投資についてわかりやすく解説するラジオ番組『浅野真澄×山田真哉の週刊マネーランド』が人気を集める山田氏に、過去の投資失敗談や現在の投資ライフについて聞いた。
――山田さんはFX以外に株などもやられているんですよね。そもそも最初に投資を始めたのはいつでしたか。
山田:最初は’99年に買った投資信託です。でも、投資信託って、あまり値動きがないじゃないですか? だから途中で飽きてしまって。そのあと、公認会計士になって監査法人に入ったので、仕事柄、株投資は一切できなかったので、一時中断しました。ただ、投資にはすごく興味があったので会社を辞めた後、すぐに株式投資を始めました。
――これまで投資を我慢していた欲求不満が一気に噴出ですか? 最初の頃は、どんな銘柄を買っていたんですか。
山田:ソニーや三菱東京UFJ、新日鉄など、割とメジャーで手堅い感じの銘柄が多かったです。
――FXでは大金を溶かしてしまったわけですが、株の勝敗はどうですか?
山田:今のところ、これまで2000万円くらいつぎ込んで、最大で含み損は1200万円ほどでしたね……。
――FXだけじゃなくて、株でも負けてるんですか!?
山田:株をやり始めた頃の僕は、株を買っても、ほとんどチャートや株価の動きを見てなかったんですよ。もともと監査法人にいたので、その会社の良し悪しを見分けるには、株価より決算書のほうが大切だっていう考え方が強かったので。あと、僕はアニメが大好きなんですけど、10年くらい前に「萌え株」が流行していたんです。そこで、僕が萌え株を買いまくるという雑誌連載があって、600万円分くらい買ったんですが、そこでもかなり損しました。ものによっては、200万円で買ったのに、今では10万円になっている銘柄もあります。
――買った当初と比べて、株価が20分の1とはだいぶ下がりましたね。
山田:僕が萌え株を買い始めた頃は、萌え株自体の人気が沸騰していた頃だったいうこともあって、かなりの高値掴みをしてしまったんです。今思えば「そりゃ、株価も下がるよね」って感じなんですけど。まさに火中の栗を拾いに行くというか、毎月はずれくじをバンバン買っていくような感じでしたね。
――今も萌え株は買っていますか。
山田:アニメのクオカードとかスタジオ見学の権利とか、面白い優待があるのはホールドしてますが、一度失敗しているので、基本は買わないです。
――株でもFXでも痛い目を見た、ということですが、その後も投資は続けてらっしゃるんですよね。
山田:実はFXや株で痛い目に遭いすぎたので、’08年以降はとりあえず買った銘柄はそのまま塩漬けにして、投資自体は中断していたんです。今思うと、’09年くらいから相場が良くなったので、本来ならそのタイミングで買っておくべきだったんですが……。ただ、「羹に懲りて膾を吹く」(=前の失敗に懲りて、度を越して用心深くなること)ではないですが、その前に投資で痛い目に遭いすぎているので、また失敗するのが怖かったんですよね。
――FXと株で6200万円も損を出したら、そうなりますよね……。
山田:そして、アベノミクスで相場がまた戻ってきた’12年ころから、「もう大丈夫かな?」と思って、またちょっとずつ株を買い始めました。いまは60銘柄くらい持っていて、毎年1、2銘柄ずつ買い足していっている感じです。
――’12年以降の成績はいかがですか。
山田:どうでしょうね。勝っても負けてもいないという感じでしょうか。基本的に今ある銘柄はよほどのことがない限り、死ぬまで売らないつもりです。
――え、そうなんですか。
山田:まぁ、お金に困ったら売りますが、現在は本業でちゃんと生活できているので。今は過去の塩漬けのせいで含み損200万円ぐらいですが、売ると損が出てしまいますよね。でも、そのまま死ぬまで一生保有しておけば、負けることはないですから。まぁ、僕の子供からしたら、「せっかくなら、現金で遺産を残してくれたほうがありがたい」と思うかもしれませんが(笑)。
――じゃあ、売却益で利益を得ようとは思ってないということですか。
山田:そうですね。基本は優待と配当金で回収しようと思っています。だって、株価は上がるか下がるかわからないじゃないですか? それよりは、確実にもらえると約束された1%のほうが僕にとっては大きいです。短期投資型の人には「配当金と株主優待に魅力を感じない」と言われることもありますが、なかには配当金を3~5%くらい出すものもありますからね。
――投資でガッツリ儲かろうという気持ちはあまりないんですね。
山田:100人の中で1位になろうとするのは難しい。もちろん1番になれたらいいですが、僕には無理だってことがこれまでの経験上わかってきたので。でも、100人中1位にはなれなくても、49位でも十分だと僕は思うんですよ。そのくらいのポジションを目指して、とにかく「負けない投資」をしていきたいと思っています。
――最近は景気も横ばい気味で、なかなか好材料が見当たらない相場だとも言われています。今年下半期の展望については、どう思われますか?
山田:好材料がないときっていうのは、逆にチャンスでもありますから。今年の夏は結構注目だと思っています。特に、今注目したいのは、最近調子が悪いと言われ続ける新興国の復活ですね。
――新興国というと、たとえば中国や東南アジアなどでしょうか?
山田:そうですね。中国などは、一時期の勢いはなくなり、経済市場も減退気味だという報道もありましたが。最近は持ち直しているという話もあります。あと、最近中国や東南アジアなどの新興国へ行った人に話を聞くと、「活気や熱気がすごい」という話しか聞きません。それから原油が戻ればロシアや中東が持ち直してくる可能性も高い。そうなれば、また潮目が変わると思います。今年は、おそらく原油で始まり、原油で終わる1年なんじゃないかと思っています。
大失敗の末、編み出したのは「死ぬまで売らない投資術」
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