藻谷浩介と考える「里山資本主義」の今――風評被害を克服する福島日本酒の戦略
2016.08.30
アベノミクスの恩恵は、都市部や大企業が中心で、地方や中小企業にはほとんどまわってきていない。特に、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の経済的復興はまだこれからだ。HBOは、エコノミスト・藻谷浩介氏の講演ツアーに同行して東北復興の“現場”を歩き、地域の特性を活かした「持続可能な経済」について考えた!
「『勤勉・実直』という美徳を持つ東北人の中でも、特にその資質が高い」と、藻谷浩介氏が絶賛するのが福島県人だ。
「以前、福島県産米の全量全袋検査の様子を見たんです。丁寧に心を込めて作業をしていました。『ああいう真面目な人たちがやっているから大丈夫』という信頼感が湧いてきました」(藻谷氏)
そんな福島県で訪ねた企業は、創業250年を迎える「笹の川酒造」(郡山市)。日本酒だけではなく「チェリーウィスキー」をはじめ焼酎やリキュール、オリジナル焼酎の製造委託など、さまざまな種類の酒を造っている。
昨年4月に襲名したばかりの10代目当主・山口哲蔵氏は、「福島県は、今や日本酒の金賞を一番多く取っている都道府県なんです」と語る。
「福島県酒造組合の中に『清酒アカデミー』専門学校を設立して、高度な酒造りが勉強できるようになり、技術レベルが向上したからでしょう」
校長は酒造組合の理事長が務め、地元の酒造業の社員でもオーナーでも、学生になることができる。そしてあちこちの蔵を見学しながら3年間みっちり勉強するのだという。
「実は、酒造学校が新潟にあることがわかったので、そこを参考に作りました。後追いしたわけですが、受賞数では新潟を追い越しました」(山口氏)
【福島】風評被害を乗り越え、新潟を抜いて「日本酒日本一」に
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『里山資本主義』 課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!! |
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