藻谷浩介と考える「里山資本主義」の今――風評被害を克服する福島日本酒の戦略

福島県産の素材を使った新商品を続々と開発

 しかし、原発事故直後は“風評被害”のため売り上げが激減したという。 「例えば、福島県産米の全袋検査では、現在の基準値超えはゼロになっているのに、悪いイメージばかりが先行している」(藻谷氏)
古川農園

「基準値を超える県産米は一つも出ていないのに、自分の作るコメは『日本一安いコシヒカリ』になってしまった」と嘆く、「古川農園」(郡山市)当主の古川清幸氏

 また、福島県産の酒が福島県産の原料を使っているとも限らないのだが、「福島産の酒」というだけで忌避する消費者もまだ多い。そんな状況の中、笹の川酒造は地元農産物を使った新商品の開発を続けている。今年3月には福島県三春町の農家が作ったブルーベリーでリキュールを製造、地元JAの直販所で販売した。5月には約30年ぶりに「地ウイスキー」の原酒蒸留も再開。3年後を目標に、自社原酒による商品化を目指す。「『笹の川酒造』の販売額は、何とか震災前と比べて約2割減までには回復しました」(山口氏)  風評被害で落ち込んだ販売額を埋め合わせ、さらに震災前以上の復興を目指しているのだ。 「福島は食の都。震災前はコメの収穫量が全国4位でした。勤勉実直な福島県民は全袋検査やカリウム散布など、さまざまな努力を行っている。彼らの努力が実を結び、風評被害払拭とともに、震災復興の大きな原動力となっていくことは間違いない」(藻谷氏) 【藻谷浩介氏】 ’64年、山口県生まれ。日本総合研究所調査部主席研究員。著書に『デフレの正体』、共著書に『里山資本主義』など。NPO法人「コンパス 地域経営支援ネットワーク」の理事長も務める ― エコノミスト・藻谷浩介と考える「持続可能な地方経済」 ―
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里山資本主義

課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!