「そもそも、本気で所得隠しをしようとしているのであれば、名目上の経営者や業務執行者、株主まで用意した上でオフショアカンパニーを複数通すはず。なかにはソフトバンク・孫正義氏や楽天・三木谷浩史氏の名前も出ていましたが、所得隠しの証拠となるはずの銀行間の取引履歴や送金指示書はまったく出てきていません。追跡調査もなしに単に名前を見つけて大騒ぎしているだけで、本当の税金逃れだったのかもわからない」
では一体、何のために文書をリークしたのか。
「世界のオフショアマネーを米国に取り込もうという魂胆なんだと思いますよ。パナマ文書には、英国領バージン諸島のオフショアカンパニーの名前が数多く公開されていますが、米国のネバダ州、デラウェア州、ユタ州、ワイオミング州などの情報がまったく出てこない。OECDが世界の口座情報の共有システムの構築を進めていますが、OECD加盟国が軒並み参加を表明するなか、米国は協力しない意向を示しているんです。オフショア同士の勢力争いのようなものでしょう」