中国映画界で起きている“日本映画バブル”その理由を探る

中国の映画祭でAPiE社が交換した名刺の数。日本コンテンツを欲する業者が名刺交換を求めて殺到したという

一方で消極的な日本のコンテンツホルダーたち

 しかしこの状況でも、多くの日本のコンテンツホルダーは二の足を踏んでいる。その理由は中国に対する不信感だというが、「それは双方にとって損失」(上野氏)。 「確かに以前はプロジェクトが空中分解したり、詐欺が横行したりすることもありました。しかし近年の中国人は自分たちのイメージが悪いことを理解しており、ビジネスマナーが劇的に向上しています。実際、現在の中国の映画業界はハリウッド並の厳格な契約社会。信頼関係のあるトップ同士で話している弊社ではこれまで契約の不履行や入金の遅れといったトラブルはありません」  上野氏は「あと2~3年もすれば中国は独自の良質コンテンツを増産し始める」と予言する。そうなれば日本産コンテンツの需要にブレーキがかかることは明白だ。この商機を生かすか殺すか。 【上野由洋】 毎日放送記者を経て、中国へ日本コンテンツの輸出などを行う株式会社アジアピクチャーズエンタテインメントを設立。大手新聞社・テレビ局からも相談を受けている。 <取材・文/HBO編集部>
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